かしこ)” の例文
飯綱権現いいづなごんげんの社前へ一気に上って来ると、社の前に例の箱入りの名刀を供えて、二人ともかしこまって柏手かしわでを打ち、うやうやしく敬礼しました。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この男は片足が悪いから、かしこまろうとしてもうまい具合には跪まれないから、胡坐あぐらと跪まるのを折衷したような非常に窮屈な坐り方です。
人にれることの少ないムク犬が、招かれた慢心和尚のかおをじっと見つめながら、尾を振ってそこへキチンとかしこまったのは、物の不思議です。
雨が降っているから、障子を立て通しにしてあったのをあけて入ると、帳場のわきに金蔵がにがり切って坐っている、その傍には番頭がピリピリしてかしこまっている。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
子供はそこへかしこまってお角のかおを見上げました。その時、見ればその眼が白眼がちで、ちらりとした、やや鋭いと言ってよいほどの光を持っているのを認められます。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
仲居の万のがかしこまると、一座の眼は庭先から導かれて来るお玉の方へと一度に向いてしまいます。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ちょこなんとかしこまり、おもむろに琵琶を取り上げてキリキリと転手てんじゅを捲き上げると、その傍らに介抱気取りで両手を膝に置いて、端然と正坐しているのが清澄の茂太郎です。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
金助は、全く怖る怖る二階の間へ通り、キチンとかしこまって、恐れ入った形をしていると、いつもの通りお高祖頭巾こそずきんをすっぽりとかぶったお銀様は、行燈あんどんの光におもてをそむけて
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
土下座をきってかしこまった一同が、異口同音に呼ばわったかと思うと、そのまま突立ち上り、きびすを返して、さっさともと来し門外へ取って返すものですから、ここでも、がんりきの百が
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お角がなるほどと心得て、そこへちょこなんとかしこまった子供の背後うしろへ廻って見るとなるほど、その小さな両手を後ろに合せて、麻の細い縄で幾重いくえにもキリキリと縛り上げてありました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
能登守の後ろには小姓が附いていないで、若党の一学がかしこまっていました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
年寄の方の巡礼は社の前へ進んで笠の紐を解いてかしこまると
お君が歌をうたう傍へ、ムク犬が来てかしこまる。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そこへへたへたとかしこまる犬殺しどもに
言わでもの空口からくちを言ってかしこまり
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
主人の前にかしこまると