赤門あかもん)” の例文
大学の構内を通り抜けて、赤門あかもんを出て左へ曲って、本郷の通りへ行きますと、三丁目の角に兼康かねやすという小間物こまもの老舗しにせがあります。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
学校の昼の休みに赤門あかもん前の友の下宿の二階にねころんで、風のない小春日の温かさをむさぼるのがあの頃の自分には一つの日課のようになっていた。
雪ちゃん (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
赤門あかもんの前を通るはずの電車は、大学の抗議で小石川こいしかわを回ることになったと国にいる時分新聞で見たことがある。三四郎は池のはたにしゃがみながら、ふとこの事件を思い出した。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わたしがまだ赤門あかもんもなく、久米正雄君くめまさおくんいちみやったときでした。
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
サウ、赤門あかもんにせよ、早稲田わせだにせよ、一生懸命社会主義を
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
加賀さまの赤門あかもんで名代の前田加賀守まえだかがのかみ御守殿ごしゅでん屋敷。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
電車のおともしない。赤門あかもんの前を通るはづの電車は、大学の抗議で小石川をまはる事になつたと国にゐる時分新聞で見た事がある。三四郎は池のはたにしやがみながら、不図此事件を思ひ出した。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)