賄所まかないじょ)” の例文
大台所は、かみしもの武士と、のりの硬い法被を着た小者たちで、戦場のように、庖丁ほうちょうが光った。賄所まかないじょの裏門からは、何度となく、馬が駈け、馬が帰ってくる。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
賄所まかないじょと呼ばれる炊事場に、お雪という娘がいて、あれが半太夫の恋人だと、津川に教えられたことがあったが、お杉の話によると、お雪のほうが片想いで
小さい薄縁うすべりを敷いてある火鉢の傍で、ここの賄所まかないじょから来る膳や、毎日毎日家から運んでくる重詰めや、時々は近所の肴屋さかなやからお銀が見繕みつくろって来たものなどで
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
小砂利を掃くお六尺も、お賄所まかないじょの門をくぐる出入商人でいりあきゅうども、すべて、新しい法被はっぴを着ていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
賄所まかないじょから少々無心させようと云う肚でござったが、人の眠るも寝もやらず、この雪の中を御警固くださると聞いては、此方このほう共も、三の水を浴びた心地、御忠節に対して
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)