買求かいもと)” の例文
「有難うございます。笠も新しく買求かいもとめまして、すべて旅の用意も整いました。春の曙に乗じ心も軽く気も晴れやかに旅立つ事でございます。」
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
本来ならこの散策子さんさくしが、そのぶらぶら歩行あるきの手すさびに、近頃買求かいもとめた安直あんちょくステッキを、真直まっすぐみちに立てて、鎌倉かまくらの方へ倒れたらじいを呼ぼう、逗子ずしの方へ寝たら黙って置こう
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
若い私達は、子供が指切りをする様な真似をして、幼い贈物を、取交とりかわしたものである。私は一ヶ月の給料をはたいて、初代の生れ月に相当する、電気石をはめた指環を買求かいもとめて、彼女に贈った。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)