かたき)” の例文
隠してはいかぬ、かたきを取って貰いたければわしに話しなさい、又趣意にって話をつけてお前の顔の立つ様にもしよう、そうじゃないか
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
梅子は何とかして、話を其所へ持って行こうとした。代助には、それが明らかに見えた。だから、なお空とぼけてかたきを取った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私の家でも三年ほどの間は、タケニ草を目のかたきにした。蹴飛ばすほどまで大きくは決してさせなかった。
幾日かのあとで、彼は遂に錢府せんふの照壁(衝立ついたての壁)の前で小Dにめぐり逢った。「かたきの出会いは格別ハッキリ見える」もので、彼はずかずか小Dの前にくと小Dも立止った。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
このついでに言う、蛇を身のかたきとする蛙の中にも、飛蛙フライイング・フログというのがある。
武は心を痛めながらそこを出て、急いでたくさんの金を邑宰むらやくにんに送り、また百金を七郎のかたきの家へ送ったので、一ヵ月あまりで事がすんで七郎はゆるされて帰って来た。母親は悲痛な顔をしていった。
田七郎 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
友「へー/\旦那で、有難い/\能く来て下さいました、旦那様口惜くやしゅうございます、うかかたきを討って下さい、私は半分死んで居ります」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文治郎の手にこれが這入るのは蟠龍軒の天運の尽きで、これが友之助の手に這入って、遂に小野庄左衞門のかたきが分るというお話、鳥渡ちょっと一吹いっぷく致しまして申し上げます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)