謄写とうしゃ)” の例文
かつて森田節斎の「項羽本紀」の講義に参ず。これよりして「項羽本紀」を手ずから謄写とうしゃするものおよそ四回、随って批し随って読む。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ずつと晩年は数奇すき者が依頼する秋成自著の中でも有名な雨月などの謄写とうしゃをしてその報酬でとぼしく暮して居た。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
沼田さんは幸にわたくしに謄写とうしゃを許したから、わたくしは近いうちにこの記載を精検しようと思っている。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あるいは謄写とうしゃしたりして教師の目をくらますことである、それには全級の聯絡れんらくがやくそくせられ、こうからおつへ、乙からへいへと答案を回送するのであった、もっと巧妙な作戦は
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
(その後辻本満丸氏も、この記事の謄写とうしゃを、他よりて送付せられたり)聞く所によれば、『富山日報』のみならず、同県下の新聞にも大概出でたる由にて、劍岳を劍山と、新聞屋の無法書きは
越中劍岳先登記 (新字新仮名) / 柴崎芳太郎(著)
蘭学事始の原稿はもとより杉田家に存して一本を秘蔵せしに、安政二年江戸大地震の火災に焼失して、医友又門下生の中にもかつこれ謄写とうしゃせし者なく、千載の遺憾としてただ不幸を嘆ずるのみなりしが
蘭学事始再版序 (新字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
蘭学事始の原稿はもとより杉田家に存して一本を秘蔵せしに、安政二年、江戸大地震の火災に焼失して、医友又門下生の中にもかつこれ謄写とうしゃせし者なく、千載の遺憾いかんとしてただ不幸を嘆ずるのみなりしが
蘭学事始再版之序 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)