論理ロジック)” の例文
「じゃいって聞かせるがね、己は口にだけ論理ロジックっている男じゃない。口にある論理は己の手にも足にも、身体からだ全体にもあるんだ」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
愛には全く論理ロジックがなく、その情操は純一に感傷的で、女性的に、柔和であって涙ぐましい。普通に言う「情緒センチメント」という美感は、この道徳情操に於て最高潮に表象される。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
なんたる論理ロジックだ! 人が金につまって、にっちもさっちも行かず、あわや首っつりの瀬戸ぎわだというのに、あの女ときたら、なんのこったい、金銭のことにかかずらわりたくございませんので
私は、まア、懐疑派スケプチストだ。第一論理ロジックという事が馬鹿々々しい。思想之法則ローオブソートは人間の頭に上る思想を整理アドジャストするだけで、其が人間の真生活リーヤルライフとどれだけの関係があるか。心理学上、人間は思想だけじゃない。
私は懐疑派だ (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「そんな意味のない口先だけの論理ロジックが何の役に立つものかね。そんなら神を僕の前に連れて来て見せてくれるが好い」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
梅子は場合によると、論理ロジックち得ない女であった。この場合にも、自分が代助を出し抜いた事にはまるで気が付いていない挨拶の仕方であった。それが代助には愛嬌あいきょうに見えた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
健三の論理ロジックは何時の間にか、細君が彼に向って投げる論理ロジックと同じものになってしまった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
利害の論理ロジックに抜目のない機敏さを誇りとする彼は、吉川夫妻が表向おもてむき媒妁人ばいしゃくにんとして、自分達二人の結婚に関係してくれた事実を、単なる名誉として喜こぶほどの馬鹿ではなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は叔父が私をあざむいたとさとると共に、ほかのものも必ず自分を欺くに違いないと思い詰めました。父があれだけめ抜いていた叔父ですらこうだから、他のものはというのが私の論理ロジックでした。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「そうさ、何だか論理ロジックが少し変だが、しかしまあ、ならずに済むだろうよ」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「自分の結婚ですらこうだのに」という論理ロジックがすぐ彼女の頭にひらめいた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小林の筋の運び方は、少し困絡こんがらかり過ぎていた。お延は彼の論理ロジック間隙すきを突くだけに頭がれていなかった。といって無条件で受け入れていいか悪いかを見分けるほど整った脳力ももたなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
健三の論理ロジックはまるで細君に通じなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)