請判うけはん)” の例文
現に千円と少しの端金はしたがねに困って、僕に借用証文の請判うけはんを頼んでいる。時折見込の曲るのは株屋の意地で仕方がない。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
郷里くにに居る正太の知人で、叔父の請判うけはんがあらば、貸出しそうなものが有る。商法の資本もとでとして、二千円ばかり借りて来たい。迷惑は掛けないから、判だけしてくれ。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「町名主と、町内の五人組の衆が、請判うけはんしてくれさえすればいいことになっております」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実はね關善か鈴木屋か二人のうち誰でも宜いから金を受取り、私の身を渡したと云う請判うけはんが有れば宜いんだがね……三文判でも構やアしないが、男の手でなければいけないの
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
口入れ親方の運平の手から、町名主や五人組の請判うけはん付きで、身ひとつで御城内にはいるのさえ並たいていな厳しさではないのに、どうして外部から鉄砲や弾薬たまぐすりなどを持ちこむことができるのか。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、請判うけはんを頼んだことなんか書き立てられると信用に関係する」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「そうそう。あい、請判うけはんを。……どうも、ご苦労さんよ」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)