)” の例文
「細けえこともけとったが、取っといても仕様なえから、もうなんにもなえじゃろう? みんな、燃やしてしもうただろ」
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
やがて、かたりと書物を置きえる音がする。甲野さんは手垢てあかの着いた、例の日記帳を取り出して、け始める。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
明細な収支にわけてけて置いた物を、きのう、彼の手から瑤泉院ようぜいいんの家老落合与左衛門のほうへ届けておいたと云うことを、老人たちに告げているのだった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてそれへ地形の図を描き、また介の調べによる官軍方の陣所人員その他の符号をざっとけて行った。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これまた根掘り葉掘り穿鑿せんさくして帳面にけていたとこうお話になりましたな? ただ単に一つの商品として犬を売るだけが目的ならば、こんな煩わしい手数をする必要がどこにありましょう。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
「多聞院日記」の筆者は、その天正十二年三月二十二日の頃で、さう日記にけてゐるのである。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
多聞院たもんいん日記」の筆者は、その天正十二年三月二十二日の項で、そう日記にけているのである。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼が、旅の間にも、こういうことを克明にけるようになったのも、伊織と旅をし、伊織に感心してからのことである。伊織は、時には、子どもらしくなさ過ぎるほど、生活には用意ぶかかった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これへ、どこで修行したか、流名と自身の姓名をけて」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
首帳をけている者は、七十余首と数えあげた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)