誇大こだい)” の例文
ひとつは所がへだたっていてのあたり見なれぬために遠隔の地の人のことは非常に誇大こだいして考えられたものである、今は交通が便利であるためにそんな事がない
教育と文芸 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
毎年まいねんのやうに新奇しんきなる潜行艇せんかうてい發明はつめいしたと誇大こだい吹聽ふいちやうするものゝ、その多數おほくは、「みづバラスト」とか、横舵わうだ縱舵じゆうだ改良かいりようとか、其他そのほか排氣啣筒はいきぽんぷや、浮沈機等ふちんきとう尠少いさゝかばかりの改良かいりようくわへたのみで
わざわざ呼留よびとめて、災難をのがれたとまで事を誇大こだいにして、礼なんぞおっしゃって、元来、私は余計なお世話だと思って、御婦人ばかりの御住居おすまいだと聞いたにつけても、いよいよきまりが悪くって
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
家康も、信雄の心理を誇大こだいに利用して、天下にむかい同様な悪名を秀吉にかぶせ、もって、小牧こまきに臨む徳川方の戦争名分とはしたのであるが——この頃では少々、信雄の不平も、聞き飽いている。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)