あず)” の例文
そういって、メタルを媬母ほぼの手にあずけた。それから元気のない足どりでよろけながら、振りむきもしずにそこを立ち去った。
小さきもの (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
浅井はそれをお千代婆さんのところにあずけておいて、それ以来の細君と自分との関係などを説いて聞かせた。女はむしろ浅井夫婦に同情を寄せた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ひょっとして猫に喰いつかれるとか、それにまだ乳呑児なんだからね、大きな声を出したり、泣いたり……いいえ、駄目です。近所にでもあずけたらどうだね
小さきもの (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
それでもその当座、あずけてあった氷屋の神さんに、二度ばかりあのうちへつれて来てもらったことがあったよ。私も一度行きましたよ。もちろん母親だなんてことは、おくびにも出しゃしなかったの。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お銀は子供に話しかけながら、乳呑ちのの方を女中にあずけて出て行った。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あずけるんだね? よろしい、その子をこっちへお出し」
小さきもの (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「けど、それはしかたがないよ。見込んであずけられて見れば、こっちだって相当のことはしなければならん。これから室の方の話が纏まるものとすればなおさらのこと、うっちゃってはおけない。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)