触角しょっかく)” の例文
旧字:觸角
密雲が北西の方から押し寄せて来て、その雲の投げたあらい触角しょっかくが、月の面を横ぎって流れていた。月はこの雲間を透して時どきに照るのである。
しかし艦内の一角では、極超短波きょくちょうたんぱによる秘密無線電話機が、鋭敏な触角しょっかくを二十四時間、休みなしに働かせて、本国からの指令を、ひたすらあこがれていた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
イナゴのように、ピンと一本、銀の触角しょっかくを立ててるだろう。あれがラジオ・カーさ。警視庁本部とたえずラジオで連絡しながら、きみを追っかけていたんだよ。教えてやろうか。
虎の牙 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その次は、彼らは、敵を威嚇いかくするために、その太い触角しょっかくを振り廻しはじめる。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
こうして二本の鞭のようなものがえていて、釣竿つりざおのように、だらんと下っているが、昆虫の触角しょっかくと似ていて、月の世界で、われわれ同志が話をするのには、なくてはならない仕掛けだ
大宇宙遠征隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ココミミ君の頭の上に出ている触角しょっかくが、にゅうっと一メートルばかり伸び、長いむちのようになった。つぎにその鞭のようなものは、かりかりと奇妙な音を立てて、たこの手のように動いた。
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)