見別みわけ)” の例文
蓮華寺にある丑松の荷物を取纏めて、直にるものは要るもの、寺へ預けるものは預けるもので見別みわけをつけたのも、すべて銀之助の骨折であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「お蔭で食べられる草と、食べられない草との見別みわけはちやんと附くやうになりました。」
あの御連れ様のおっしゃる事は半分は確かに当たっておりますよ。あなた、あの方はこの兄弟はどちらが善人でどちらが悪人だか見別みわけがつかないとおっしゃいましたが、本当に善人の方を
と腹の中では議論を吹懸ふッかけながら、口へ出しては大人しく、はい、然う申しましたというと、チョッと舌打して、此様こんな者を取次ぐ奴が有るか、君は人の見別みわけが出来んで困ると、小言を言って
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
非常に神経質に作為の跡を隠してある為に、それは極くおぼろげにしか見別みわけることは出来ませんけれど、おぼろげなればおぼろげな程、却ってその恐怖は深みと大きさを増している様に見えるのです。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)