たち)” の例文
小野田は時々外廻りに歩いて、あとは大抵店でたちをやっていたが、すきがありさえすれば蓄音器をいじっていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
彼女は自分のわきにその子を置いて、またたちもの板の前にすわった。そうして時々針の手をやめては、暖かそうにているその顔を、心配そうに上からのぞき込んだ。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
根津の店が失敗したおりに逐返おいかえしたきりになっている、父親をよろこばせに行った頃には、彼が留守になっても差閊さしつかえぬだけの、たちの上手な若い男などが来ていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「医者に勧められて湯治に来たといえば、それで済むんだよ。事によったら、上さんあの店を出て、この人にたちをやってもらって、独立ひとりだちでやるかも知れないよ」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)