虐殺ぎゃくさつ)” の例文
大隅は話し半ばに怪しき方法によって河村を虐殺ぎゃくさつした者のあるのを悟り、奮然として、門番の小屋から外に飛びだした。岩蔵に違いない!
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
七草の絵は、無残な空骸なきがらだ。草雲は、怒りに全身が燃えた。愛児が、虐殺ぎゃくさつされたような感情が、眼を熱くさせて、男泣きの涙がこぼれかけた。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
例えば大勢の聴衆に向って話している時、私は不意に瞑想に襲われることがある。そのときこの不可抗の闖入者ちんにゅうしゃは、私はそれを虐殺ぎゃくさつするか、それともそれに全く身をまかせてついてゆくかである。
人生論ノート (新字新仮名) / 三木清(著)
ベトウリヤの運命は迫りました。破壊と虐殺ぎゃくさつとが、目前に在りました。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
狭い区域内で、連続的に街上で辻君つじぎみ虐殺ぎゃくさつという言葉はらない。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
領主 あくまでもつくしてこの虐殺ぎゃくさつ所因しょいんしらべい。
寇州こうしゅうの地方より頻々ひんぴんたる早馬や落去らっきょの地方吏が門を打ち叩き、梁山泊の賊徒のために、州城は蹂躪じゅうりんされ、国財もことごとく奪われ、あまつさえ州の奉行高廉こうれん虐殺ぎゃくさつされたとのらせにござりまして
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)