薬莢やっきょう)” の例文
そして懐中電灯の光でてらしだしたのは、死人の腹にまいてある幅の広い帯革おびかわであった。それには猟銃の薬莢やっきょうを並べたように、たくさんのポケットがついていた。
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しているだけさ。こんなものは使やしない。薬莢やっきょうは引出しの中へ入れたままだ
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
防寨ぼうさいの中は、こわれた薬莢やっきょうき散らされて、雪でも降ったようだった。
「そうなんです。尤もお金の多寡たかはハッキリわかりませんがね……それから、もう一つ重要なのは、屍体の左手にシッカリと握っていたレミントンの二連銃の中に、発射したままの散弾の薬莢やっきょうが二発とも残っていた事だそうです」
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かく薬莢やっきょうを拾わせたり、時にはタイヤをパンクさせて擬音ぎおんを利用したり、うまくごまかしていましたが、最後に赤星龍子嬢の傷口きずぐちによって一切のインチキは曝露ばくろしました。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
父が空になった薬莢やっきょうをはずしているのが聞えた。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
博士は地下の原料タンクから地上まで鉛管を何本も出して、ポンプで吸出すように仕掛を作っておいたから、雷管のついた薬莢やっきょうさえあれば、いくらでもガス弾は作れるのであった。
火星兵団 (新字新仮名) / 海野十三(著)
警部は、それを手にとって開いてみると、二個の薬莢やっきょうだった。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)