蕩子たうし)” の例文
言ふところはドン・ホアンをあざむ蕩子たうしなる如くにして、まことはサンアントニウスの誘惑を峻拒しゆんきよする氣概あり。
こは偸安とうあんと云ふよりも、若きをたのむ心もちなるべし。この心もちに安住するは、余りい事ではないかも知れず、云はば芸術上の蕩子たうしならんか。(八月二十三日)
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
アヌンチヤタは尋常の歌妓に非ずして、その妙藝は現に天下の仰ぎ望むところなりといへども、われいてこれに從はゞ、その形迹世の蕩子たうしえらぶことなからん。我友はこれを何とか言はむ。