蒼穹さうきう)” の例文
その砂丘に足を投げ出してはてしない海の暗い沖の方に眺め入つたり、また仰向あふむきに寢ころんで眼もはるかな蒼穹さうきうに見詰め入つたりしながらも、私はほんとに頭を休めるわけには行かなかつた。
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
我は心よりおそれ、妻は心よりたはる。我父母の為に泣き、妻はわが父母ちちははそしる。行道ぎやうだう念々ねんねん、我高きにのぼらむと欲すれども妻は蒼穹さうきうの遥かなるを知らず。我深く涙垂るれども妻は地上の悲しみを知らず。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)