董承とうじょう)” の例文
暗香疎影あんこうそえい——ふたつの影もその中のものだし、董承とうじょうの影と明暗の裡にたたずんでいるので——彼らはすこしも気がつかないらしい。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近ごろ主人の董承とうじょうはすっかり体も本復ほんぷくして、時おり後閣の春まだ浅いにわに逍遥する姿などを見かけるようになったからである。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その推移をながめながら、怏々おうおうと、ひと知れず心を苦しめていたひとは、この国舅こっきゅうとよばるる車騎将軍——董承とうじょうであった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父の吉平は、知ってのとおり、国舅こっきゅう董承とうじょうと計って、曹操をのぞかんとし、かえって事あらわれて、曹操に斬られた者だ。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折から、幸いにも、帝の寵妃ちょうひの父にあたる董承とうじょうという老将が、一隊の兵を率いて、帝の御車を慕って来たので、帝は、虎口を脱して、先へ逃げ落ちて行かれた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かつて彼の命の下にあえなき最期をとげた漢朝のふく皇后や、とう貴妃や、また国舅こっきゅう董承とうじょうなどの一族があらわれて、縹渺ひょうびょうと、血にそみた白旗はっきをひるがえして見せ、また雲の中に金鼓きんこを鳴らし
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……馬騰。忘れはおるまいな。むかし国舅こっきゅう董承とうじょうと汝へ降したちん衣帯いたいの密詔を。……あの折は、未然に事やぶれたが、このたびそちが上洛の由を聞いて、いかに朕が心待ちしていたかを察せよ」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
楊奉、楊彪、董承とうじょうともがらが、御車を守護しつつ、闇を急いだ。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
董承とうじょう。いかにせばよいであろうか」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)