萌黄縅もえぎおどし)” の例文
けれども、それは何、わかいもの同志だから、萌黄縅もえぎおどしよろいはなくても、夜一夜よっぴて戸外おもて歩行あるいていたって、それで事は済みました。
女客 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ではこのよろいが売りものなのか。黒皮胴くろかわどう萌黄縅もえぎおどし、なかなかりっぱなものだが、いったいいくらで売るのだ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
赤地の錦の直垂ひたたれ萌黄縅もえぎおどしの鎧を着け、鍬形くわがた打った兜の緒をしめ、黄金こがね作りの太刀に、切斑きりふの矢、重籐しげとうの弓という装立ちで、連銭葦毛の馬に、金覆輪の鞍を置き、人目をひく颯爽さっそうたる姿で立ち現れた。