莞爾莞爾にこにこ)” の例文
そして長いことそこにって、莞爾莞爾にこにこして子供等の遊びに見とれていたが、ふと気がつくと、眼をかくして逃げるようにそこを駆けだした。
小さきもの (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
ひたいも、目も、眉も、そのいずれも莞爾莞爾にこにことして、文珠もんじゅ微笑ほほえんでまします。第一獅子が笑う、獅子が。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこへ銀行が退けて、いつものように莞爾莞爾にこにこしながら、父がはいって来た。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
莞爾莞爾にこにこしながら聞いていた月野博士は
月世界跋渉記 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
勘作は莞爾莞爾にこにこ笑いながら上へあがった。
ある神主の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
母親というものは、子供に添え乳をするところを見ると、不思議に恍惚うっとりとした眼付をして、莞爾莞爾にこにこしながら、子供の顔にやさしい接吻の雨を降らせるものだ。
小さきもの (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
一寸ちよつと苗屋さんと、窓から呼べば引返ひつかへすを、小さき木戸を開けて庭に通せば、くゞる時、笠を脱ぎ、若き男の目つき鋭からず、頬のまろきが莞爾莞爾にこにこして、へい/\召しましと荷を下ろし、穎割葉かひわりば
草あやめ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
短刀で、こ、こことここを、あっちこっち、ぎらぎら引かれて身体からだ一面に血が流れた時は、……私、その、たらたら流れて胸から乳から伝うのが、渇きのとまるほど嬉しかった。莞爾莞爾にこにこしたわ。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そんな風に挨拶されると、乞食はまた嬉しくなって莞爾莞爾にこにこした。
幻想 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)