草履穿ぞうりばき)” の例文
その女は臙脂べにを塗って白粉おしろいをつけて、婚礼に行く時の髪をって、裾模様すそもよう振袖ふりそでに厚い帯をめて、草履穿ぞうりばきのままたった一人すたすた羅漢寺らかんじの方へのぼって行った。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
素足すあし草履穿ぞうりばきにて、その淡き姿を顕わし、しずかでて、就中なかんずく杉の巨木きょぼくの幹にりつつ——
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は草履穿ぞうりばきのままで、何度かその高い石段をのぼったりさがったりした。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)