茶汲ちゃく)” の例文
見ると、宮はそこにはおいでなくて、道場の隅のいぶせき茶汲ちゃくみ部屋の窓へ向って、独り寂然と坐っておられた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それにえあたしゃそこらにてた、れた草鞋わらじもおんなじような、水茶屋みずぢゃや茶汲ちゃくむすめ百夜ももよみちかよったとて、おまえって、昔話むかしばなしもかなうまい。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
茶汲ちゃくみ女は三人、小体こていな暮しですが、銅壺どうこに往来の人間の顔が映ろうという綺麗事に客を呼んで横網よこあみに貸家が三軒と、洒落しゃれた住宅まで建てる勢いだったのです。
「ないどころか、賭場中のやつが、荒れ熊の爪に引ッ掻き廻されたようなもんで、目も当てられたありさまじゃありません。茶汲ちゃくみ婆まで、ひじを折られてしまいましたよ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)