からむし)” の例文
……明日もまた、からむし殻を焚いておそくまでかどに立ちつくすのかと思うと、それを見るのがいまから辛くてなりませんわ
生霊 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
長羅は兵士たちの持って来た剣と、からむしの袋の中からとり出した鏡と琅玕ろうかん勾玉まがたまとを父の前に並べていった。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
これらの代官は主としてからむし公事くじのために置いてあるので、莚の方は実は第二だ。この地方から秋になると柿や松茸などを鬚籠に入れて送って来たことが日記に見える。
だがその使い道を心得ておくのはいいことだ。この蕁麻いらぐさはその若い時には、葉がりっぱな野菜となる。時がたつと、からむしや麻のように繊維や筋がたくさんできる。蕁麻の織物は麻の布と同じようだ。
眺めつつ夕づきぬらむ竹の根のからむしの日ざしとみに移りぬ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
彼の頭は嫁菜よめなの汁で染められた藍色あいいろからむしきれを巻きつけ、腰には継ぎ合したいたちの皮がまとわれていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
第三はからむしの関務である。この収入はもっぱら官女の給分等に充てたものらしく、年貢については文亀三年に三百疋の収入があったことを記しているのみで、定額がわからない。