苛責さい)” の例文
全く私一人の責任であるかのような心苦しさに苛責さいなまれて、両手を顔に当てて、全身に冷汗を流したのであった。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
気絶する程に痛い足を十基米キロメートルも引摺り引摺り、又もあの鉄と火のざき地獄の中へ追返されるのかと思うと、自分自身が苛責さいなまれるような思いを肋骨あばら空隙くうげきに感じた。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
どこどこまでも温柔おとなしい、日本婦人式に謹しみの深い天使のような殿宮夫人を、二重にも三重にも苦しめ苛責さいなむのを、一つの秘密の楽しみにしてお出でになったのでしょう……イイエ。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……と思う間もなくどこの何者とも知れない女性の叫びに苛責さいなまれ初めた絶体絶命のいき地獄……この世の事とも思われぬほど深刻な悲恋を、救うことも、逃げる事も出来ない永劫えいごうの苛責……。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)