花生はないけ)” の例文
立床の間には三幅對ぷくついの掛物香爐かうろを臺にいたゞいてあり不完全物ながら結構けつこうづくめの品のみなりうちゆかしき違棚ちがひだなには小さ口の花生はないけへ山茶花を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
花生はないけは日々坐右におき、いまに草花たえずいけ申候。活花は袁中郎ゑんちゆうらう瓶史へいしにより候。御一笑可被下候。これよりも又備前やき陶尊たうそん一つ進申候。これまた案左あんさにて御插可被下候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
その時から青磁が香炉なら香炉、花生はないけなら花生というものが実に立派に出来ております。
又氏郷が或時に古い古い油を運ぶ竹筒を見て、其の器を面白いと感じ、それを花生はないけにして水仙の花を生け、これも当時風雅を以て鳴って居た古田織部に与えたという談が伝わっている。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その菊を自分の家の花生はないけに生けるためにか、もしくは人にやるためにかとにかく三本なり五本なりを切った、何だか庭の花の多くの部分を切り取ってしまったかのような心持がするのであるが
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)