自分おのれ)” の例文
だから、「聞いておどろく人もなし」ではいけないのです。せめて鐘の音を聞いた時だけでも、自分おのれの生活を反省したいものです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
翌朝つぎのあさ早く起きいでて源叔父は紀州に朝飯たべさせ自分おのれは頭重く口かわきて堪えがたしと水のみ飲みて何も食わざりき。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
余りの有難さに自分おのれもまた涙聊か誘はれぬ、さて美しき姫は亡せ果てたり、美しき尼君はり出で玉ひぬ、青〻としたる寒げのかしら鼠色ねずみ法衣ころも、小き数珠ずゞ、殊勝なること申すばかり無し
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
私は私の本分つとめを尽くすうちに、満足を見出してゆくべきです。したがって、私たちは、決して自分おのれの使命を他人に誇るべきではありません。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
母は舞台見ずやとゆびさしたまう。舞台には蝋燭ろうそくの光まなこを射るばかり輝きたり。母が眼のふち赤らめて泣きたまうをいぶかしく思いつ、自分おのれは菓子のみ食いてついに母の膝に小さき頭せそのまま眠入りぬ。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
しかし、果たして自分おのれ一人が涼しい顔をして、悟りすましておられましょうか。「鹿しかの鳴くこえを聞けば昔が恋しゅうて」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)