臥牛がぎゅう)” の例文
この山は形状臥牛がぎゅうのごとく、全山寸余の芝生をもっておおわれ、坐臥打舞ざがたぶごうも衣を汚すの憂いなく云々とあって、その芝生を方言にカヌカというと記している。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ぬッくと立って両手をひろげると、金吾も臥牛がぎゅうの蔭を立って、今度こそはと飛びかかって行く。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
佐渡が、臥牛がぎゅうのようにゆったり水平線に横わって居ります。空も低い。風の無い静かな夕暮でありましたが、空には、きれぎれの真黒い雲が泳いでいて、陰鬱でありました。
みみずく通信 (新字新仮名) / 太宰治(著)
いしみな奇状両岸に羅列す、あるい峙立じりつして柱のごとく、或は折裂せつれつして門のごとく、或は渇驥かっきの間に飲むが如く、或は臥牛がぎゅうの道に横たわる如く、五色ごしき陸離りくりとして相間あいまじわり、しゅんおおむね大小の斧劈ふへき
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
荒雄川の急流を隔てて北方の蝦夷えぞに備えたのであろう。後に、伊達正宗の最初の居城、臥牛がぎゅうの城閣がこの丘の上に組まれ、当時の城閣を偲ばせる本丸の地形や城郭の跡が今でも残っている。
荒雄川のほとり (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)