でき)” の例文
ポチとそこに何かできている。“蚊触かぶれ”という病名があった。医師たちはこの発見をすぐそれに附してかぶれの練薬ねりぐすりを塗布して容体の変化をみていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
できだらけの迷い犬に三度三度めしをやっているうち、覚えてくる愛情に、それは似ていた。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
これは尊氏がやって来た“ごう”そのままな縮図だわえ。人のからだではようだが、国にできれば地上の大乱そのものだ。身にこれを病むとはよくよくわしは宿命の子にちがいない。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
瑞々みずみずと結い上げてやったお六の頭が見るも浅ましくところまんだらに天保銭ほどの禿になっている。白癬しらくも頭のおできのあとのようにも見えるし台湾坊主の出来そこないみたいにも見える。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)