脂下やにさ)” の例文
自分の手柄に脂下やにさがる万七に案内されて、ともかくも、引取手もなく、むしろを掛けたままにしてある二人の死骸を見ました。
西門慶は「その道にかけての俺を今知ったか」といわぬばかりに、ヘラヘラ脂下やにさがった顔してその日は戻って行った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
竪川の——その頃はよく澄んでいた水に、ポンとはりほうって、金煙管きんぎせる脂下やにさがりにくわえたことに何の変りもありません。
閉め切った納戸の前に座蒲団ざぶとんを敷いて、少し脂下やにさがりに安煙草の輪を吹いております。
もっともうるしのような宵闇の中で、いつもの短い煙管きせるでなく、長い朱羅宇しゅらおの煙管を横っちょへ脂下やにさがりにくわえていましたから、曲者は煙草の火へ見当を付けて、私の眼のつもりで
少し脂下やにさがりに銀煙管ぎんぎせるを噛んで、妙に含蓄の多い微笑を送ります。
「路地の足跡や、川の中の短刀はみんなその浪人が見付けてくれました。見掛けによらない才智者で、うんとめてやると、——こいつは兵法の一つだから、何でもないよ、なんて脂下やにさがっていましたが」
八五郎を出してやると、平次はまた帳場に脂下やにさがります。
ガラッ八は元のまま八畳に脂下やにさがっていたのです。
八五郎は少しばかり脂下やにさがりました。