“能勢(のせ)” の例文
吉田さんの『地名辞書』の索引などを見ると、巨勢(こせ)とか能勢(のせ)とか須磨(すま)とか那須(なす)とかいう類の二音の意味不明な地名が幾種もある。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
もう大丈夫とにらんで、能勢(のせ)の妙見さまへ参詣するから、村の者数名にお供を命じると云って、鐘をついて竹槍さげて押寄せた大将分らしい奴だけ選んでお供を命じた。
安吾史譚:05 勝夢酔 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
淀を右塁とし、勝龍寺の城を左塁とし、能勢(のせ)、亀山の諸峰と、小倉之池に狭(せば)められたこの京口の隘路(あいろ)を取って、羽柴軍を撃摧(げきさい)せんとなす準備行動のそれは第一歩とみられた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
能勢(のせ)弁護士と云うのは人も知る官権の横暴と云う事に強い反感を持った人で、卑しくも官権が圧迫を加えたと云うような事実に対しては彼一流の粘り強さで徹底的に糾弾(きゅうだん)する。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
さらさらというむかでの跫音までがはっきり聞えました。遥か下の方に水の音が静かにしています。それがどうも能勢(のせ)の妙見山(みょうけんさん)の景色らしいんですよ。二人は千手観音を背負っています。
むかでの跫音 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
「能勢(のせ)、能勢、あのお上(かみ)さんを見ろよ。」
父 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
摂津の能勢(のせ)はいわゆる厳重(げんちょう)(玄猪(げんちょ))の本場であったから、製法その他にもいろいろの古例があったことと思うが、播州の方ではこの日のためにただ餅をつき
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
こうして全軍が、右に淀川を見、左に能勢(のせ)や有馬(ありま)地方の山々を見ながら、北進して行くうちにも、なお二十人、三十人の郎党や家の子を率(ひき)いて来る地方郷党の小部隊の参加もひきもきらぬ程だった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「弁護士は能勢(のせ)さんが好いでしょう」
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)