聖堂せいどう)” の例文
子供の時聖堂せいどうの図書館へ通って、徂徠そらい蘐園十筆けんえんじっぴつをむやみに写し取った昔を、生涯しょうがいにただ一度繰り返し得たような心持が起って来る。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は近頃数寄屋橋外すきやばしそとに、虎の門金毘羅こんぴらの社前に、神田聖堂せいどうの裏手に、その他諸処に新設される、公園の樹木を見るよりも
それよりモスクワ川向かわむこうまち景色けしきなどを見渡みわたしながら、救世主きゅうせいしゅ聖堂せいどうや、ルミャンツセフの美術館びじゅつかんなんどをまわってた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
聖堂せいどうも湯島天神も焼けちゃったからな。
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「なあに漢学者でさあ、若い時聖堂せいどう朱子学しゅしがくか、何かにこり固まったものだから、電気灯の下でうやうやしくちょんまげを頂いているんです。仕方がありません」とやたらにあごで廻す。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)