老猫ろうびょう)” の例文
宋江は居るに苦しく帰るに帰れず、ただ理性と凡情と、そして瞋恚しんいほむらに、てんめんたるまま、あやしき老猫ろうびょう美猫びびょうの魔力に、うつつをなぶられているのみだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっともこれがまだ頑是がんぜない仔猫こねこであったら、訳なく懐くのであろうけれども、こう云う老猫ろうびょうになって来ると、人間と同じで、習慣や環境の違った場所へ連れて来られると云うことが
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
見れば猫のうちでも、最もたちの悪い老猫ろうびょうだ。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)