翻々ひらひら)” の例文
旧字:飜々
空っ風が強くて、黄色な砂塵すなぼこりあがっていた。雪が来る前には乾くものだ。道は乾き切って割れている処さえあった。小高い丘の船問屋の高い竿のさきに赤い旗が翻々ひらひらひらめいている。
越後の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
北の方の空は青くすんでいる。遠くに連っている町の頭が犇々ひしひしかさなって固っている。ぎらぎらとするのは瓦家根かわらやねが多いからであろう。翻々ひらひらと赤い旗も見える。長い竿の先に白い旗のひるがえるのも見える。
暗い空 (新字新仮名) / 小川未明(著)
広い圃の中に出ると、小春日に、虚空を赤蜻蛉あかとんぼ翻々ひらひらと、かよわく飛んでいるのやら、枯れた足元の草の上にとまっているのもある。遠く、うす黒きけむりの、大空に溶けるようにのぼっているのも見える。