群来くき)” の例文
鰹船の禁物きんもつは第一は遠島船。第二が讃岐さぬき藍玉船あいだまぶね。遠島船にあうと鰹の群来くきが沖へ流れるといって、たいへんに嫌う。藍のほうはむかしから魚には禁物。
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
群来くきた鰊の大群は、午前の三時頃になってようやく退去して行った。漁夫たちはあけ方まで休みなしに鰊汲をつづけ舟に一杯になるとそれを枠網にうつすのであった。
鰊漁場 (新字新仮名) / 島木健作(著)
にしん群来くきがすっかりはずれるとか、ワク船が流されるとか、いろいろに想像されるこれらの不幸の一つだけに出くわしても、君の家にとっては、足腰の立たない打撃となるのだ。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
流氷が去った海岸ににしん群来くき
章魚人夫 (新字新仮名) / 広海大治(著)
太平洋やオホツク海にあって年を経た春鰊は、その頃になると、大群をなして本島の西海岸さして「群来くきる」のだ。鰊に従って移動する鴎の群れがまずそれに先行する。
鰊漁場 (新字新仮名) / 島木健作(著)
やむなく高い駄賃だちんを出して他人の漁場を使わなければならなくなったのと、北海道第一と言われた鰊の群来くきが年々減って行くために、さらぬだに生活の圧迫を感じて来ていた君の家は
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
初鰊の報道があってから一週間目に、大丸の建網にも最初の群来くきを見た。
鰊漁場 (新字新仮名) / 島木健作(著)