羞含はにか)” の例文
見返しますがな、極りが悪そうに鎌首かまくびを垂れて、向うむきに羞含はにかみますよ。憎くないもので、ははははは、やはり心がありますよ。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼はいつも寒そうに、両手をわきの下から着物の中にさし入れて、やや羞含はにかんで歩いていたのを思い出した。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
何も羞含はにかむことは無いぢやないか、何羞含む訳ぢやない? さうとも羞含むことは無いとも、始終内でつてをるのに、あれで可いのさ。姿勢かたちは私が見て遣るから早くおいで。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
羞含はにかんで、ぼうとなって、俯向うつむくので話がきまって、かっ逆上のぼせた奴を車に乗せて、回生剤きつけのような酒をのませる、こいつを三々九度と云うのよ。そこで寝ておきりゃ人の女房だ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)