繩張なわば)” の例文
新字:縄張
さくらよわっているから、このうちはいってはいけません。」と、のまわりにさくをつくって繩張なわばりをして、ふだてました。
学校の桜の木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
始めから十七字の繩張なわばりの中に跼蹐きょくせきしてもがいている人とでは比較にならない修辞上の幅員の差を示すであろう。
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
あるところは運上所うんじょうしょ(税関)を中心に掘立小屋ほったてごやの並んだ新開の一区域であり、あるところは埋め立てと繩張なわばりの始まったばかりのような畑と田圃たんぼの中である。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かみさまは、世界せかいをみんなのため、おつくりになったのだから、だれにもそんな繩張なわばりをする権利けんりなんかなかったのだ。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうしていわゆる「創作」と称する小説戯曲とは全然別の繩張なわばり中に収容されているようである。
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
映写の始まる前に観客席を見回していたら、中央に某外国人の一団が繩張なわばりした特別席に陣取っていた。やがて、そこへ著名な日本の作曲家某氏夫妻がやって来てこの一団に仲間入りをした。
試験管 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)