縁辺えんぺん)” の例文
新吉自身の家柄との権衡けんこうから言えば、あまりドッとした縁辺えんぺんでもなかった。新吉のうちは、今はすっかり零落しているけれど、村では筋目正しいいえの一ツであった。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「境論を山崎に預けたのは、山崎が涌谷さまの縁辺えんぺんに当るからで、そのために山崎が窮地に立たされるだろうということは、涌谷さま自身も知っておられるのだ」
源斎巌げんさいがんが左に、むかって高くそばだつ天柱岩がある。このあたりから丘陵の間はやや斜面にひらけて赤松の細い幹が縁辺えんぺんに林立し、怪奇な岩層の風致に一種の繊細味をまじえてゆく。対松崖たいしょうがいはこれと映照えいしょうする。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
「たしか娘の縁辺えんぺんの事につきましてもいろいろ牧山さまへ御心配を願いましたそうで……」「へえー、そうですか」とこればかりは迷亭にもちと唐突とうとつ過ぎたと見えてちょっと魂消たまげたような声を出す。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御自分の縁辺えんぺんに当る者に三十万石を分与する、などということができるものでしょうか