縁下えんした)” の例文
人々は縁下えんしたより、ばらばらとその行くほうを取巻く。お沢。遁げつつ引返ひきかえすを、神職、追状おいざま引違ひきちがえ、帯ぎわをむずと取る。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
箒を堂の縁下えんしたに差置き、御手洗みたらしにて水をすくい、かみ掻撫かきなで、清き半巾ハンケチたもとにし、階段の下に、少時しばしぬかずき拝む。静寂。きりきりきり、はたり。何処どこともなく機織はたおりの音聞こゆ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)