緑酒りょくしゅ)” の例文
芸妓の生鈍なまぬるい肉声に歌われて、いわゆる緑酒りょくしゅ紅燈の濁った空気の中に、何の威厳もなく、何の情趣も無しに迷っているのに較べると
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
木枯こがらしさけぶすがら手摺てずれし火桶ひおけかこみて影もおぼろなる燈火とうかもとに煮る茶のあじわい紅楼こうろう緑酒りょくしゅにのみ酔ふものの知らざる所なり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「ああ玉杯ぎょくはいに花うけて、緑酒りょくしゅに月のかげやどし、治安のゆめにふけりたる、栄華えいがちまた低く見て……」
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
散歩のたのしみ、旅行の楽、能楽演劇を見る楽、寄席に行く楽、見せ物興行物を見る楽、展覧会を見る楽、花見月見雪見等に行く楽、細君を携へて湯治とうじに行く楽、紅燈こうとう緑酒りょくしゅ美人の膝を枕にする楽
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
ああ玉杯ぎょくはいに花うけて、緑酒りょくしゅに月のかげやどし
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)