緋塩瀬ひしおぜ)” の例文
美人はかろく会釈するとともに、その手は帯の間に入りぬ。小菊にて上包みせる緋塩瀬ひしおぜの紙入れを開きて、渠はむぞうさに半円銀貨を投げ出だせり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
房の切れた、男物らしいのを細く巻いたが、左の袖口を、ト乳の上へしょんぼりとき込んだたもとの下に、利休形りきゅうがた煙草入たばこいれの、裏の緋塩瀬ひしおぜばかりが色めく、がそれもせた。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
公園の茶店に、一人しずかに憩いながら、緋塩瀬ひしおぜ煙管筒きせるづつ結目むすびめを解掛けつつ、と思った。……
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
公園の茶店ちゃみせに、一人しずかいこひながら、緋塩瀬ひしおぜ煙管筒きせるづつ結目むすびめ解掛ときかけつゝ、と思つた。……
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)