網雪洞あみぼんぼり)” の例文
お坊主が、網雪洞あみぼんぼりける、紙燭ししょくを広間へくばる。——だが、それすら今日に限って、なんとなく薄暗い気がしてならない。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっと念を押そうと思うまに、法達はスススと本堂の畳をって、内陣のくらやみから、一個の網雪洞あみぼんぼりをとって、それへ明りを磨りつけている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
網雪洞あみぼんぼりにほの暗く照らされた本丸から二の丸への廻廊を、何か、あわただしい声と跫音あしおととがなだれてくる。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人がともして行った一個の網雪洞あみぼんぼりが、厨子ずし螺鈿らでんや古びた金泥きんでいの物体を、メラ、メラと、あやしげに明滅させているのみで、法達の姿はどこへ行ったか見当りません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
所々、ほの暗い網雪洞あみぼんぼりのついている六間廊下を、面白そうにドンドン駆け出して行った次郎。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それももう網雪洞あみぼんぼりに廊下の暗い頃であった。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)