継娘ままむすめ)” の例文
旧字:繼娘
源氏は恋人とその継娘ままむすめが碁盤を中にしてむかい合っているのをのぞいて見ようと思って開いた口からはいって、妻戸と御簾みすの間へ立った。
源氏物語:03 空蝉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
女房と申すのがこの里の庄司の、継娘ままむすめでありましたが、気だての優しい美しい縹緻きりょうの、立派な女でありまして、二人の間に男の子が、二人あったそうにござります。
真間の手古奈 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その継娘ままむすめは、優しい、うつくしい、上品な人だったが、二十はたちにもならない先に、雪の消えるように白梅と一所に水で散った。いじめ殺したんだ、あの継母がと、町内で沙汰さたをした。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
東宮の淑景舎しげいしゃの方は実母よりも紫夫人を慕っていた。美しく成人した継娘ままむすめを女王は真実の親に変わらぬ心で愛した。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
継娘ままむすめのほうの女房の罪をつまびらかにしようとはせず、自身の娘のために不利なこともそのまま荒だてずに済ますよう骨を折ったから、家庭はきわめて平和であった。
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)
玉鬘たまかずら夫人は宮のお情けの薄さを継娘ままむすめの不幸として聞いていながら、自分がもし結婚をしてそうした目にあっていたなら、六条院の人々へも、実父の家族へも不名誉なことになるのであったと思った。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
それはおかしい、処女でない新妻を少将はどう思うだろうと、その良人おっとに同情もされたし、またあの空蝉の継娘ままむすめはどんな気持ちでいるのだろうと、それも知りたさに小君を使いにして手紙を送った。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)