絵心えごころ)” の例文
料理は、見かけが第一である。たいてい、それで、ごまかせます。けれども、このロココ料理には、よほど絵心えごころが必要だ。色彩の配合について、人一倍、敏感でなければ、失敗する。
女生徒 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そのへんからでも竜宮りゅうぐう御殿ごてんまではまだ半里位はんみちくらいはたっぷりあるのでございます……。何分なにぶん絵心えごころなにわせないわたくしちからでは、なんのとりとめたおはなしもできないのが、たいへんに残念ざんねんでございます。
たに上手かみての方を見あげると、薄白い雲がずんずんと押して来て、瞬く間に峯巒ほうらんむしばみ、巌を蝕み、松を蝕み、たちまちもう対岸の高い巌壁をも絵心えごころに蝕んで、好い景色を見せてくれるのは好かったが
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)