から)” の例文
と身をかゞめてすかして見ますと、谷間たにまに繁茂致してる樹木にからんで居ます藤蔓は、井戸綱ぐらいもある太い奴が幾つも八重になってからんで居ます
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と云ううちに浅黄色の垂幕をからげて出て来た。生々しい青大将色の琉球飛白がすりを素肌に着て、洗い髪の櫛巻くしまきに、女たちと同じ麻裏の上草履うわぞうり穿いている。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
やがて、夜が明け放れた時、お兼は新庄しんじょの山の頂を越えた、その時は、裾をからげ、荷を担ぎ、蝙蝠傘をさして、木賃宿から出たらしい貧しげな旅の客。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「女は腰のところを下帯でからげて着るんですから」と言って、藤さんはそばから羽織の襟を直してくれる。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
娘達は僅かに着物をからげ、笑いながら、少しずつ深みへ進んで行く。
澪標 (新字新仮名) / 外村繁(著)
其の頃では一駄七十五銭で、十四五本ぐらいずつからげましてこれを牛の脊で持って来るのを、組揚げて十二段にして出しますが、誠に危い身の上でございます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そを懸命に踏みこらへて、左褄高々とからげ、はぎしろき右足をもたげて、踏絵のおもてに乗せむとせし一刹那
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
わなゝく指にて裾をからげ、手拭もて鉢巻し、脇差の下緒さげをにてたすき十字に綾取る間もあらせず。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)