素戔嗚尊すさのおのみこと)” の例文
神話に、天照大神が機を織っていたらば、素戔嗚尊すさのおのみことが暴れ込んで、馬の生皮を投げ込んで機を滅茶滅茶にしてしまったという插話がある。
私たちの建設 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
尾州一の宮の神主かんぬし、代々鶏卵を食せず云々、素戔嗚尊すさのおのみことの烏の字を鳥に書きたる本を見しよりなり。熱田にはたけのこを食わず、日本武尊やまとたけるのみことにてまします故となん云々。
「駄目ですよ。その勾玉まがたま素戔嗚尊すさのおのみことが、ある人に渡してくれと云って、私に預けた品なのですから。」
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
恐れ多くも皇祖彦火火出見尊ひこほほでみのみことは、御自身山幸彦やまさちひことして鳥獣の狩猟に従事遊ばされたのであった。さらに遡って、素戔嗚尊すさのおのみことは、御自身天斑駒の皮をお剥ぎになったのである。
日本には神代から和歌があって、それが神の御裔みすえみかどの廷に、絶えることなく承け継がれて来たという、昔ゆかしい信念であった。『古今集』の序にも和歌は素戔嗚尊すさのおのみことにはじまったと記している。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
それが素戔嗚尊すさのおのみことには腹も立てば同時にまた何となく嬉しいような心もちもした。彼は醜い顔をしかめながら、ことさらに彼等をおびやかすべく、一層不機嫌ふきげんらしい眼つきを見せた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
大物主神は素戔嗚尊すさのおのみこと脚摩乳あしなつち手摩乳てなつち夫妻の女をめとって生んだ子ともすえともいう(『日本紀』一)。この夫妻の名をかく書いたは宛字あてじで、『古事記』には足名椎手名椎に作る。
素戔嗚尊すさのおのみことがどうした事か、急に乱暴を始めたとか申す事でございますよ。」
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)