純真じゅんしん)” の例文
旧字:純眞
しかもけっして既成きせいつかれた宗教しゅうきょうや、道徳どうとく残滓ざんしを、色あせた仮面かめんによって純真じゅんしん心意しんい所有者しょゆうしゃたちにあざむあたえんとするものではない。
だが、わしのトランクに関するかぎり、そのような純真じゅんしんな算術は成り立たないのだよ。せわしいから説明をしていられないが、しかしこれは事実なんだ。
どもを、すきなわけをはなそうかね。それは、どこへいっても、どもは、しょうじきで純真じゅんしんだからさ。
春さきの朝のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
せめてあの純真じゅんしんなおしどりの相愛するすがたをみていたならば不純な心がいくぶんでもなくなるかと思って、毎日ここにやってきてみつめていたのでございます。
おしどり (新字新仮名) / 新美南吉(著)
咲耶子さくやこは、その純真じゅんしんさけびに、たましいをつかまれてゆすぶられるように感じた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれども真正の恋心を感じはじめましたのはふたりが十五六歳になったころからでございました。それだとて早い恋ではございます。そのころは純真じゅんしんな愛情をもってひたむきに女を愛しておりました。
おしどり (新字新仮名) / 新美南吉(著)