粗匆そそう)” の例文
多分それが相当高価の代物しろものであったらしく、お神はいつもそれを言い出しては銀子の粗匆そそうとがめるのだった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「なおまいってよく粗匆そそうのないよう注意ちゅういいたせ。それから千人の食事しょくじのしたくをもうつたえてくれ」
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
くどくもいう通り、ひどく温順い女で、少し粗匆そそうでもすると顔の色を変えて平謝ひらあやまりに謝まった。
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「じつはお出でを願おうかと思っておりました。看護婦がちょっと粗匆そそうをしましたので、あれほど信用しておいでたのに、たいそう腹を立てて薬もいっさい飲まんと言っておいでるので……」
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)