節操みさお)” の例文
この有様でもお秀は妾になったのだろうか、女の節操みさおうってまで金銭がほしい者が如何して如此こん貧乏まずしい有様だろうか。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ある時は二人の在処ありかを突留めようと思ったり、ある時は自分の年甲斐としがいも無いことを笑ったり、ある時は美しく節操みさおの無い女の心を卑しんだりして
刺繍 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
時にはまた節操みさおも肉体もみずから守ることのできない芸者の薄命な生活を想像して同情の涙を流すことなどもあった。清三には芸者などのことはまだわからなかった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
好い芸妓になるなら世話をして下さる方を一人とめて守らなけりゃいけない。それが芸妓の節操みさおというものだ。金に目がくれて心を売ってはいけない。けれども不粋ぶすいなことはいけない。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
さての梅には四徳を具すというがうかも知れませぬ、若木を好まんで老木おいきの方を好む、又梅の成熟するをていたり、とか申して女子おなご節操みさおあるを貞女というも同じ意味で、春は花咲き、夏は実を結び
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
肉が衰えては、節操みさおも無意味で有るかのように……
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)