節奏リズム)” の例文
また、次に解けていって、最初の状態に戻ると、再び力が加わって振動を始めるのだ。その節奏リズムから、僕は異常な啓示をうけたのだったよ
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
意志は、いななきつつ通りかかる夢想のしりに飛び乗って、それを両ひざでしめつける。精神は、おのれを引き込む節奏リズムの規則を認める。
話声と笑声が車道の馬の蹄に和して一種の節奏リズムを作り、空気に飽和してゐる香水パルフエンの香と不思議な諧調をなして愉快に聞える。
珈琲店より (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
彼等は自由詩の標語たる「心内の節奏リズムと言葉の節奏リズムとの一致」を以て、單に「實感の如實的な再現」と解してゐる。これ實に驚くべき誤謬である。
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
りっぱな節奏リズムもある
春と修羅 第三集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
それはどこかから、チャリンチャリンと楽玻璃グラスハーモニカのように、一定の節奏リズムをもって、快い玻璃ギヤマンの音が響いてくるのであった。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
秋の柔らかい光のようなその薄暗い金色の音楽から、音楽を導く節奏リズムがしだいに浮き上がってくる。遊星のロンドが姿を現わす。それが回転する……。
音の節奏リズムに従つて、今此の室にある総ての器、すべての人の分子間に同様な節奏の運動が起つてゐるに違ひない。
珈琲店より (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
さうでなく、よつて以てそれが表現の節奏を生むであらう所の、我我自身の心の中に内在する節奏リズム、即ち自由詩人の所謂「心内の節奏インナアリズム」「内部の韻律インナアリズム」を指すのである。
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
そしてそれらの節奏リズムのまにまに、たな葡萄蔓ぶどうづるがよじ上るように、種々の音楽が高まってくる、銀音の鍵盤から出る白銀の琶音アルペジオ、悩ましいヴァイオリンの響き
薄暗いひだのある懇篤な学者的なドイツの思想、熱情的なイタリーの旋律メロディー、細やかな節奏リズムと柔らかい和声ハーモニーとに富んでるフランスの敏才、などが結合されていた。